講談社の電子書籍への取り組みは良い方向への前進。でも失敗を繰り返さないために、契約の内容は大いに議論された方がいい。 #copyright #digital book
そ もそも電子書籍も出版社の仕事だろ、ってな—Hey, publishers, E-books are books, too - Books and the City今回、講談社が著者に宛てた契約書の第3条と第4条で、池田センセが最大の問題としているのが、これが「講談社がデジタル化権を著者か ら奪って独占 すという規定」だからということらしいんだけど、全然問題ないじゃない。デジタル化権を「奪う」のではなく、デジタル化するときは我々が 窓口となるから、 勝手にやらないでね、ってことなんだから。
例えば、講談社がアマゾンなり、アゴラブックスなり、電子書籍を作ったり売ったりしているベンダーと交渉して、フォーマットや値段を決 めようとして いるときに、一方で著者がなんの断りもなくアップルとiPad版を相談してたりすると、ややこしいというか、ハッキリ言ってまずいだろ、 それは。そういう こと。
著 者側が、でも自分でやりたい、というのならこの契約書に同意しなければいいだけの話だし。でもその場合も微妙だな。例えば、張り切った著 者がデジタル版に は、紙の本にはない画像をいっぱい付けようとか、書き換えたかった部分を改正しちゃおう、と思った場合、その時点で紙の本とは別モノにな るんじゃない の?って話もあるしね。(Photo by: Andy Coan)
他にも、「しかも講談社は、この本を電子出版すると約束していない」のを問題視しているようなのだが、これも電子版を出して採算がとれ るかどうか、 出版社が判断して何が悪いわけ? 紙の本の売れ行きをみたり、出すタイミングを見計らうのはあたりまえでしょ? 儲かりそうならやるだろ うし、赤字になり そうだったらやらない。やってみて赤字だったとしてもそのコストを著者に請求するわけじゃないんだから、フェアでしょ。
デジタル版をだすかどうか確約もしないで独占権を主張するのは、やっぱりアンフェアだろうと思う。どちらかなら理解できるけどね。確約する 代わりに独占するか、確約はしないけど独占もしないか。
この記事の結びの方の「著作を電子書籍化する権利は出版の権利の中に含まれる(プライマリー・ライツである)」って主張は、言われてみれば なるほどと思うところもある。でも、それにしたって、現時点ではコンセンサスを築けていないんだから、いちいち見直ししていく必要があるん じゃないかな。
いずれにせよ講談社の取り組みの姿勢それ自体は消費者としても著作者としても大筋、良い方向に前進と捉えていいと思う。ただ現時点で提示さ れている契約条件は、やはり出版社側が「強者」の立場に立ってると思うんだ。
音楽業界がデジタル化していく中でおかしたバカげた失敗の数々を、本のセカイでも繰り返すことはないよね。そのために、講談社の取り組みを きっかけにして大いに議論が沸くのはいいことなんじゃないかな。
